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50歳過ぎてから伏見人形づくりにチャレンジ
高島喜兵衛氏(現在72歳)は、今から20数年前に、自らの手で伏見人形を創作すべく、工房「稲山」を開設されました。まさに50の手習いよろしく、50歳を越えてから独学で伏見人形づくりに挑戦されたのです。そして2002年4月、伏見人形の私設博物館「伏見人形稲山庵」を開設され、その庵主として多忙な生活を送られています。喜兵衛氏はもともとサラリーマンだったのですが、かねてから父君の仕事の跡を継ぐという志を持っておられ、父君が亡くなられた後、伏見人形などを取り扱うお土産屋さんを継がれたのです。自ら人形づくりに携わっていれば、お客様にも説明しやすいだろうというのが、喜兵衛氏が人形づくりをする動機でした。また、喜兵衛氏は約400年にも及ぶ伝統ある伏見人形を、半永久的に保存し、広く伝えたいという夢を持っておられます。最盛期には、この地に約50〜60あまりの製造業者がいた一大産業地だったのですが、このままでは殆どなくなってしまうのではないかという危惧さえありました。現在、伏見人形をつくっているのは、「丹嘉」と「菱平」という2つの窯元しか残っておらず、当初は主に「菱平」から人形を仕入れていました。しかし、そのつくり方は誰も教えてくれず、試行錯誤を重ねながら、独学で人形づくりを学び、自分のものとされたのです。
伏見人形の良さを、多くの人々に知っていただくために
伏見人形は、伝統的な表面・裏面の「型」があり、そこに粘土を押し込んで一体化させ、型から一体になった粘土を取り出して焼成します。しかし、当然のことながら喜兵衛氏は「型」を持っておられず、その「型」づくりからスタートされたのです。その人形型は干支の動物がメインとなっており、伏見稲荷にお参りに来られたお客様などに提供されています。伏見人形は、全国の土人形の源流といわれるほどに伝統的なものなのですが、現在、伏見人形を知っているという人はそれほど多くはないので、できるだけ多くの方々にその良さを知って欲しいということから、この4月に「稲山庵」を開設されました。これは、喜兵衛氏のご自宅の前庭を利用してつくられたもので、20年にわたりご自分が創作された作品や、先人の作品の数々を展示されておられ、気楽に伏見人形を楽しむことができます。また、ご自宅の裏に工房があり、先々の構想も大きくふくらんでいます。伏見人形は従来、薪で焼成しましたが、喜兵衛氏は環境問題や近隣の事などを考慮し、ガス窯・電気窯で焼成されています。
ガス窯 |
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伝統の火を消さないために
喜兵衛氏はお土産屋さんの5代目に当たり、6代目のご子息がいらっしゃるのですが、そのご子息はお店が忙しくて、伏見人形づくりにまで手が回らないのが現状。そこで喜兵衛氏が期待されているのが7代目となるお孫さん。「なかなか器用なところがあるから」と、伏見人形づくりの後継者となって欲しいご様子です。喜兵衛氏は、伏見稲荷大社からいろんなご恩を受けられておられるので、ご自分のできる範囲で、そのご恩に報いたいとのこと。また、「伏見人形稲山庵」やその人形づくり活動が、地域活性化の一助になればとの思いもあるそうです。いずれにせよ、ぬくもりのあるこの手づくり人形を、もっと多くの人に知って欲しいというのが、喜兵衛氏の願いです。そして、老後に趣味を同じくする人たちと楽しく過ごしながら、ともに同じ夢を語ることができれば・・・とのことでした。伏見人形という伝統の火が消えることのないよう、私たちも大いに期待したいものです。
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